家事調停を起こされた場合

遺産分割調停を起こされたら

相続人間で相続財産の分配につき争いとなっている場合に、他の共同相続人が家庭裁判所に遺産分割調停の申立をすると、家庭裁判所から呼出状が届くことになります。

遺産相続については、親族間の争いでもありますし、家庭裁判所にこの問題が持ち込まれたこと自体に違和感を感じられる方も多いのではないでしょうか。

また、どうして自分が裁判所から呼び出しを受けなければならないのか、疑問を感じる方もいらっしゃると思います。

他にも、家庭裁判所から呼び出しが来るということは、裁判所は申立人の言い分に従って、呼び出した他の相続人を説得しようと考えているのではないかという誤解を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。

さらにいえば、相続人間の争いについて、証拠があること、ないこと含めて、多分に感情的な対立があるにもかかわらず、裁判所ではそれを取り合ってもらえないのではないかとか、直接会って話をすれば足りるのではないか、とお考えになりわざわざ裁判所に出向くことについては後ろ向きに感じられる方も多いと思います。

この点、調停は訴訟と異なり、期日に欠席したからといって、相手の言い分をすべて認めるといった判断がなされるわけではありません。

しかし、遺産分割調停手続きとは、申立人のために他の相続人を無理やり納得させるための手続きではなく、被相続人が亡くなり,その遺産分割について相続人間で話し合いがまとまらない場合に、中立的な立場の調停委員会(家事調停官1名と調停委員2名で組織される)が、各相続人の言い分を聞いたうえで、調整を行ったり、具体的な解決案を提案するなどして、円満に解決できるよう斡旋する手続きです。

相続人同士での感情のもつれや、意思疎通の齟齬が原因で、相続人間では話し合いがまとまらない場合であっても、調停委員という中立公平な第三者が間に入ることで、冷静にお互いの立場を理解し合い、妥当な解決を図ることができる場合もあります。

また、法律上は「裁判所又は調停委員会の呼出しを受けた事件の関係人が正当な事由なく出頭しないときは、裁判所は、5万円以下の過料に処する」(民事調停法34条)という規定もあるところです。

したがって、遺産分割調停を起こされた場合には、まずは呼出状に記載された期日に家庭裁判所に出頭すべきです。そのうえで、自らの考えを率直に調停の場で主張してください。

また、自らの主張を補強する証拠があれば持参して調停委員に提示してください。

もっとも、遺産分割調停において、話し合われる内容が複雑で整理して伝えることが難しかったり、仕事の都合などであなたが調停期日に出頭することが困難な場合もあると思います。

そこで、どのようなことが遺産分割協議をするうえで重要な事実なのか、どのような主張が法律的に認められうるのか、的確に把握するために、弁護士に相談しアドバイスを受けることは有効な手段です。

また、アドバイスを受けたうえで、あなたの言い分や証拠を整理して、遺産分割について話し合う調停手続きについて、弁護士にあなたの代理人を依頼することも検討してみるといいでしょう。

とくに、あなた自身が主張したい内容が法律的にはどのような位置づけになるのか、または相手方が主張している内容が法律的に認められるものであるのか、妥当な解決点はどのあたりなのかといった点につき、弁護士は法律知識だけでなく、これまでの事件処理の経験に基づき適切なアドバイスをすることができます。

例えば、相続人のうちで自分だけが他の相続人とは異なり被相続人の介護を熱心に行った場合 寄与分)、相続人のうちで相手方だけが他の相続人とは異なり被相続人から生前に多額のお金の贈与を受けた 特別受益)とか、被相続人の死亡直前に同居していた相続人が多額の預貯金を引き出した 解決事例)とか、被相続人が認知症になったのちに遺言が作成されている等のことを主張したいけど、どこから説明していいのかわからないというような場合、弁護士が代理人としてあなたの主張を整理する手助けをすることができます。

また、あくまで遺産分割調停は話し合いですが、話し合いで解決できない場合には、遺産分割審判といって裁判官による判断によって解決する手続に移行することになりますので、遺産分割調停の段階から遺産分割審判を見据えて(遺産分割調停を担当した裁判官が審判も担当することになりますし、記録は引き継がれることになります)、手続を進める必要がありますので、弁護士に依頼するメリットは大きいといえるでしょう。

離婚調停を起こされたら

配偶者から離婚調停を申し立てられた場合、遺産分割調停を申し立てられた場合と同様に、まず調停期日に遺産分割調停と同様に出頭すべきです。

離婚調停では、遺産分割調停にも増して相手方と顔を会わせたくないということも多いと思われますが、離婚調停の場合、原則として、夫、妻がそれぞれ別々の待合室に入室し、個別に調停室に呼ばれて交互に話を聞かれることになります。

したがって、調停の合意が成立したときなどを除いて相手方と顔を会わせるといった場面はありません(裁判所の建物内もしくは付近で鉢合わせすることはあり得ますが)。

ですので、相手方とほとんど接触しないで手続きを進めることができますので、直接話し合いたくないという理由で出頭しないのはやめるべきであると考えます。

また、法律上の離婚原因 離婚原因について)があるケースで、離婚調停が不成立となった場合には、その後離婚訴訟が提起される可能性があります(離婚に関しては調停前置主義 離婚相談 概要)といって、いきなり訴訟提起するのではなくまずは調停を提起する必要があります)。

そこで、後の離婚訴訟提起があるか否か、もしくは訴訟における見通しを立てるためにも、調停手続には出頭すべきであると考えます。

調停はつまるところ話し合いであり、どうせ話し合っても話がつくことはないと考えているので出頭しないというのは、避けるべきであると思います。

さらに、離婚調停に特有の問題として、夫婦間に未成年の子がある場合には、離婚調停に出頭しないことが親権の決定の際に不利な影響を及ぼす恐れがあります。

したがって、行きたくないという気持ちを持たれるのも理解できますが、家庭裁判所から離婚調停の呼出状が届いたら、期日に出頭して調停委員に自らの主張を聞いてもらいましょう。

その際、夫婦関係が上手くいかなくなった経緯などを時系列に沿って書いたメモなどを準備するとよいでしょう。

もちろん、弁護士に依頼することにより弁護士が代理人として調停に同席することもできます。

なお、離婚調停においては、離婚時の財産分与、親権・養育費といった様々な問題が関係してくるので、それらを総合的に解決するために、弁護士に相談されて説明を聞き、ご依頼されることを検討なさってみてください。

最後に、離婚調停に関する土地管轄(どこの家庭裁判所において調停をするか。例えば、福岡家庭裁判所で調停を行うのか、鹿児島家庭裁判所で調停を行うのか)については、原則として、調停を起された方の住所地を管轄する家庭裁判所または当事者の合意で定める家庭裁判所(家事事件手続法245条)となります。

すなわち、調停を起こす方と起こされる方が遠隔地に別居している場合、原則として、起される方の住所地を管轄する裁判所で調停手続を行うことになります。

しかし、調停を起こす側が、相手方住所地を管轄する家庭裁判所までが遠いため、出頭が経済的にも物理的にも難しいということで、調停を申し立てる申立人の住所地を管轄する家庭裁判所に申立をすることがあります(家事事件手続法9条1項但書参照)

このような場合には、調停を申し立てられた側としては、自らの住所地を管轄する裁判所への移送の申立をする必要があります。

もっとも、家事事件手続法では、改正により電話会議による手続(離婚成立の手続はできないが、調停期日は電話会議が可能です)も定められたので、申立人の住所地での離婚調停の実施は、認められにくくなっているといえます。

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