裁判の被告になったら

突然、裁判所からあなたの下に『訴状』という文書が届いたら…。

ある日思いがけず民事訴訟の被告になってしまったら、どうしたらいいのかわからなくて、慌ててしまう方が多いのではないかと思います。

そこで、民事訴訟の被告になった場合の対応についてお話しします。

裁判の原則について

民事訴訟の被告になった場合、「訴状」「甲号証」「口頭弁論期日呼出及び答弁書催告状」「答弁書のひな型」等の書類が届いていると思います。

「初めてみる書類ばかりだし、なんだか悪いことをしたかのようで落ち込んでしまう」、「どうして私が裁判の被告にされなければならないのか、相手への腹立たしさで書面を読む気が起こらない」等という方々も、一度冷静になって、訴状を読みながら裁判になっている出来事を思い出してみてください。

そうすると、あなたの言い分と相手方の言い分どこが食い違っていて、あなたがいいたいことは何かということがいくつか浮かんでくると思います。

そこで浮かんできたあなたの言いたいことが、法的に意味のあることかはわかりませんが、それらを整理して裁判所に伝える前に、いくつか頭に入れておきたい裁判の原則があります。

まず一つ目は、「民事裁判では、相手が主張している事実について認否といって、認めるのか争うのかを明らかにすることが求められるのですが、争いがない事実は判決において事実と認められ、争いがある事実のみが証拠調べの対象となる。そして、一度事実を認めると原則として後に争うことはできない」ということです。

当たり前のことのようですが、これは大事なことです。

相手方もしくは相手方の弁護士が書いた訴状に書いてある事実の意味づけが不明な段階でその事実があったことを認めてしまうと、それが後々有利になることもあるかもしれませんが、不利になってしまうこともありうるからです。

次に、二つ目は、「民事裁判においては、裁判期日における口頭での主張だけでなく、書面による主張・立証の整理が有効な手段であり、それが求められている」ことです。

テレビドラマや映画等の影響もあり、裁判というのが口頭で相手の主張を論破するものであるかのような誤解が広がっているようなところがあり、勘違いされている方もいらっしゃいますが、裁判において適切に主張を理解してもらい、証拠を見てもらうためには、書面の形で裁判所に提示するのが有効であり、求められているのです。

すなわち、あなたの主張を理解してもらい適切な判決を言い渡してもらう、もしくは適切な和解を勧めてもらうためには、できるだけ裁判実務の形式に従った書面を提出することにより、また書面においては適切なまとめをすることが要請されるのです。

そこで、民事訴訟の被告になった場合の対応としては、まずは訴状や証拠を一読して、ご自身の主張を簡潔に文書にまとめてみます。

さらに、ご自身の主張に沿った証拠についても整理してみます。

そして、法律の専門家である弁護士のアドバイスを受けるために、法律事務所に相談に行き、必要であれば訴訟の代理人を弁護士に依頼します。

もっとも、訴訟の被告になってしまったが、弁護士に依頼する費用がない場合や、どうしても弁護士に依頼するかどうかの決断が第1回の裁判期日までには間に合わない等の事情がある場合もあるかと思います。

そのような場合は、ご自身で対処することになりますが、その場合であっても以下述べるような注意点を踏まえて、明確な理由がある場合以外には、何らかの対処をすべきであると思います(裁判の内容に応じてどのような対処をする方がいいのかは異なるものですが、以下では一般論としてとるべき対処についてアドバイス差し上げます)。

まず、必ずやるべきことをお話します

それは答弁書を提出することです。

逆に言うと、やってはいけないことの一つ目が、第一回口頭弁論期日を欠席し、答弁書も提出しないことになるわけですが、第一回口頭弁論期日を欠席しても、答弁書さえ提出しておけば、欠席判決により敗訴となることはありません。

これは、被告が答弁書を提出すると、第一回口頭弁論期日に欠席したとしても、その答弁書に書かれた内容を口頭弁論期日で陳述したという扱いになるからです(これを専門用語で「擬制陳述」といいます)。

また、裁判所から送られてくる書面に答弁書の提出期限が記載してありますが、提出期限を経過したからといって、裁判所が答弁書を受け取らないということはありません。

第一回口頭弁論の期日前であれば、提出期限後であっても、諦めないで答弁書を提出するようにしてください。

その際には、原告の分も含めて2通裁判所に提出するようにしてください。

次に、この答弁書の記載において注意すべきこと

(1)答弁書の「請求の趣旨に対する答弁」の欄に、争わない旨の記載をして提出すること
これをやってしまうと、欠席判決と同様に、即座に原告の主張通り、すなわち訴状通りの判決が出てしまいます。
(2)答弁書の「請求の原因に記載の事実」について、不用意に自らに不利な事実を認めてしまうこと
これをやってしまうと、専門用語で「裁判上の自白」といって容易に撤回できなくなることがあります。

【訴訟費用は被告の負担とする】という記載について

<弁護士費用は裁判に負けた者が支払うことになるのか>

訴状の請求の趣旨の項目のところに、

  • 1 被告は原告に対し、金300万円及び平成●年▲月×日以降支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  • 2 訴訟費用は被告の負担とする。
  • との判決並びに仮執行宣言の付与を求める

という記載がある場合に、当事務所に相談に来られる相談者の方の多くが、「訴訟費用は被告の負担とする」という記載を見て、「裁判に負けた場合、相手方の弁護士費用までこちらが支払わなければならなくなるのか」という不安を持たれるようです。

しかし、「訴訟費用は被告の負担とする」という記載の「訴訟費用」には、弁護士費用は含まれません。

ここでいう訴訟費用の負担というのは、「証人の日当・旅費、訴訟提起にかかる裁判所の手数料(印紙代)、鑑定費用」等の費用の負担を求めるものです。

また、この「訴訟費用」については、裁判の判決が出たからといって当然に支払額が確定するのではなく、判決の確定後、訴訟費用額確定処分という手続きを経て支払額が確定するものです。

ですので、印紙代が高額の場合や多額の鑑定費用がかかった場合等の事案を除いて、敗訴した側に現実的な負担をさせるに至らないことの方が多数であるといえます。

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