労働問題 残業代請求のケース別解説

残業代請求のケース別解説

時間外労働をした場合、賃金は割増で計算される??

「時間外労働」とは、労働基準法に定められている1日8時間もしくは1週間に40時間を超える労働のことです。この時間外労働に対しては、使用者(会社)は、割増賃金を支払う義務があります(労働基準法37条)。

時間帯最低割増率
時間外労働1ヶ月60時間以内の場合125%
1ヶ月60時間を超える場合150%
休日労働135%
深夜労働125%
時間外労働
かつ
深夜労働
1ヶ月60時間以内の場合150%
1ヶ月60時間を超える場合175%
休日労働かつ深夜労働160%
休日に1日8時間を超える労働135%
(1日8時間を超えない休日労働と同じ)

このように、「時間外労働」とは、法定時間外労働をいうのが正式ですが、一般的には、「就業時間として定められた時間以外に行った労働」のこととしてとらえられています。そして、企業の実務においても、「就業時間として定められた時間以外に行った労働」(所定時間外労働)について、法定時間外労働と同様に、割増賃金を支払う取り扱いをしている例が多くみられます。

賃金の支払いが遅れたことについて会社の責任を追及できる??

例えば、A社(A社の給与の支払いは20日締めの当月25日払いとします)に勤務しているXさんは、平成27年3月に時間外労働を行いました(20万円に相当する時間外労働とします)が、A社は残業代を一切支払わなかったとします。

そこで、Xさんは、A社と裁判をし、1年後にやっと20万円を支払ってもらうことができたとします。

ただ、Xさんとしては、1年も後に20万円を支払って利子(?)もつかないのが納得できません。このような不満は、法律上どうにもならないことなのでしょうか?

まず、「賃金」全般について(残業代の請求も賃金請求の一種です)、営利を目的とした企業・団体に勤務している場合には、年6%の遅延損害金(遅れたことによる損害を償うためのお金)の支払いを受けることができます。

また、退職した労働者については、賃金の未払いがある場合には、退職の日の翌日から支払いがなされるまで年14.6%の遅延利息の支払いを受けることができます(賃確法6条1項)。

遅延損害金の他に会社はペナルティを受けないのか??
  1. ・解雇の際の予告手当
  2. ・時間外労働・休日労働・深夜労働の割増賃金
  3. ・休業手当
  4. ・年次有給休暇中の賃金

会社が上記の支払い義務に違反した場合、裁判所は、労働者の請求により、未払金に加えてそれと同額の付加金の支払いを命じることができます(労働基準法114条)。

すなわち、労働審判や裁判において、労働者が付加金の支払いを求めた場合で、裁判所が付加金を課すのが相当であると認めた場合には、会社に付加金の支払いが命じられることになります。そして、付加金は、最大で未払金の額と同額ですので、未払金の2倍の支払いを受けるのが最大限ということになります。

もっとも、裁判所は、会社の労働基準法違反の程度や態様、労働者の不利益の性質、内容等諸般の事情を総合考慮して付加金を課すかどうか、及び付加金の額を決定することができるのであり、上記の支払い義務違反があれば、いつでも付加金を課す命令がなされるわけではありません。

残業代請求権の消滅時効

残業代請求権は、賃金請求権の一種という位置づけになります。ですので、2年間で時効消滅してしまいます(労働基準法115条)。

多くの会社では、従業員の給与の支払時期は、当月分を当月払いになっていることかと思います(例えば、20日締め25日払い)。

ですので、概ね今から遡って2年以上前の時間外労働に対する残業代請求権は時効により消滅している可能性が高いです。

管理職だから残業代は出ない??

皆さんも「管理職だから残業代でない」という話を聞かれたことあるのではないでしょうか。一方、「名ばかり店長」とか、「名ばかり管理職」の問題というのも何となくは聞かれたことあるのではないかと思います。

法律的には、労働基準法41条2号に書いてある「管理監督者」にあたるかどうかというのが、残業代請求の場面でよく問題になります。

この「管理監督者」にあたるのは、経営者側と一体的立場にある者であって、役職などの名称にとらわれず実態に即して判断されることになります。

具体的には、①経営にかかかわる重要な決定に参画し、労務管理に関する指揮監督権限を認められていること、②自己の出退勤をはじめとする労働時間について裁量権を有していること、③一般の従業員に比べてその地位と権限にふさわしい賃金(基本給、手当、賞与を含む)上の処遇を与えられていること、等を勘案して判断されます。

このように、「管理監督者」にあたるためのハードルは相当高く、一般的に管理職といわれている方にもこの「管理監督者」にあたる方は多くないというのが実情です(例えば、裁判例には、銀行の支店長代理、ファミリーレストランの店長、ホテルの料理長、カラオケ店の店長等も管理監督者にあたらないとされた事例があります)。

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