遺産相続 遺留分減殺請求による共有持分確認請求訴訟

遺留分減殺請求による共有持分確認請求訴訟

1. 遺留分減殺請求による共有持分確認請求訴訟とはどういう内容の裁判?

まず,民法は,法定相続人のうちの一部の者に対して,遺言や遺贈によっても,侵害されない,すなわち「遺言があったとしても最低限確保できる遺産に対する割合的な権利」を定めています(そのような権利は遺留分減殺請求権といわれています)。

例えば,被相続人Aには唯一の法定相続人である子Cがいましたが,Aは,長年内縁関係にあったBに対して,「Aの財産の全てを相続させる」旨の遺言を書いていたとします。

それに対して,そのような遺言がなければAの遺産を全て相続することができたはずのCは,遺留分減殺請求権を行使し,Aの相続財産の4分の1はじぶんにも権利があると主張したとします。

遺留分減殺請求による共有持分確認請求訴訟 相関図

そして,その遺留分減殺請求をした者から遺留分減殺請求を受けた者,す なわち上記の具体例でいうとCからBに対して,自分は遺留分に相当する4分の1の権利を持っていることを裁判所の判決で認めてもらいたいということで裁判を起こすのが,この遺留分減殺請求による共有持分確認請求訴訟ということになります。

2. 遺留分減殺請求による共有持分確認請求訴訟が提起される具体的な場面

例えば,被相続人Aの相続財産の中に預貯金があり,遺言によって「遺産はすべてBに相続させる」旨の遺言があるとします。

一方,被相続人Aの唯一の法定相続人でAの子であるCとしてはこの遺言の実現に納得できず,遺留分減殺請求権を行使したとします。

この遺留分減殺請求権の行使というのは,意思表示をする方法により行うことになるため,具体的には,CからBに対して,配達証明付の内容証明郵便を送ることになります。( 遺留分減殺請求権の行使について

そして,法律的にこの意思表示の到達で遺留分減殺請求権の効力が発生することになります。

しかし、実際にそのことを主張してCがA名義の預貯金がある金融機関に行って,自分の遺留分として主張することができる割合に従って預貯金を引き出すことができるか,というとそれはできません。

そこで,遺留減殺請求権者であるCは,Bとの間で,「Cは、別紙目録記載の普通預金債権を有することを確認する」という判決を求める裁判を起こし,実際に判決を得ることで,A名義の当該預金を引き出すことができるということになるのです。

3. 遺留分減殺請求による給付請求訴訟との違いについて

裁判には大きく分けて、「給付訴訟」「確認訴訟」「形成訴訟」の3つがあります。

ここでは簡単に、「給付訴訟」と「確認訴訟」との違いについて触れておきます。

まず「給付訴訟」とは,「金○○円を支払え」とか「移転登記手続きをせよ」など,何かをするように命令をしてもらう判決を目指す裁判のことです。

少し難しい言い方をすると,「給付訴訟」とは,原告が被告の給付義務の存在を主張し,被告に対して,金何円支払えといった特定の行為(給付)を命ずる判決を求める訴え,ということになります。

次に「確認訴訟」とは,「○○が平成○月○日にした遺言が無効であることを確認する」とか,「AはBに対して50万円を超えては債務を負っていないことを確認する」といったように,何かの事実関係や法律関係について確認する判決を目指す裁判のことです。

これについても,少し難しい言い方をすると,「確認訴訟」とは,原告が特定の権利あるいは法律関係の存在または不存在を主張しその確認を求める訴え,ということになります。

この「給付訴訟」と「確認訴訟」との大きな違いとして,「給付訴訟」の判決すなわち給付判決に基づいて強制執行をすることはできる<が,「確認訴訟」の判決すなわち確認判決に基づいて強制執行をすることはできないということがあります。

具体例で説明すると,「BはAに対して50万円を支払え」という判決(給付判決)が確定すると,BはAの財産に対して強制執行をすることができるようになります。

一方,「AはBに対して50万円を超えては債務を負っていないことを確認する」という判決(確認判決)が確定したとしても,BはAの財産に対して強制執行をすることができないのです。

このことを前提に,遺留分減殺請求による共有持分確認請求訴訟について考えてみると,原告は被告との間で被相続人名義の預金の持ち分割合を確認する判決を取得したとしても,そのことから直ちに金融機関に対して強制執行をすることができるということにはなりません。

しかし,原告と被告との間で預金の持ち分割合を確認する判決が出れば,金融機関としてはその支払いに応じ,これにより原告は目的を達成することができるであろうということができます。

そこに,この遺留分減殺請求による共有持分確認請求訴訟の意義があるといえます。

一方,被相続人の遺産であった不動産の名義が既に遺言に基づいて被告名義に変更されていて,原告が遺留分減殺請求に基づいてその持ち分割合に応じて被告に移転登記を求めるような場合,後の登記移転のことも考えれば,確認訴訟ではなく,給付訴訟によるべきということになるのです。

4. 遺留分減殺請求による共有持分確認請求訴訟において想定される争点(典型的な抗弁等の主張)

これまで、遺留分減殺請求について、どのような訴訟であるか、主に原告の立場(訴訟提起をする立場。遺留分減殺請求をする側)から述べてきましたが、以下では、被告からなされることが予想される主張の主なものを紹介します。

価格弁償の抗弁

民法1041条1項に定められているのですが、遺留分減殺請求を受けた場合、現物の持ち分を遺留分減殺請求権者に取得させるのではなく、代償金を支払うことで解決することができるのです。( 遺留分の算定方法

ですので、被告から「原告の遺留分減殺請求に対しては、価格弁償の申し出を行い、現実にお金も準備して原告が受け取ろうと思えば提供できるところまでしたのだから、現物返還請求権は消滅している」旨の主張がなされることがあります。

遺産の範囲に関する抗弁

遺留分減殺請求は、あくまで被相続人の相続財産に対して、自分には遺留分があるということを主張するものです。

ですので、被告から「遺留分減殺請求がなされている財産は相続開始時に被相続人の財産でなくなっている」旨の主張がなされることがあります。

遺留分権利者の特別受益

遺留分減殺請求は、自らの遺留分が侵害されていることを前提に主張がなされるもので、権利を主張するものが被相続人の生前多額の贈与を受けており、それを考慮すれば遺留分の侵害があるとはいえない場合もあります。( 遺留分の算定方法

被告から「遺留分減殺請求をしている者は、被相続人の生前、多くの財産の贈与を受けており、そのことをいわゆる特別受益として考慮すると、遺留分減殺請求をすることはできない」旨の主張がなされることがあります。

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