営業秘密保護・知的財産 意匠登録の出願に必要な書類

意匠登録の出願に必要な書類とは

意匠権を取得するには、所定の出願をし、審査を経て意匠登録を受ける必要があります。

今回は、意匠登録に必要な書類や、弁護士による出願のサポートについて解説します。

願書

意匠登録を受けるには、法律等で定められた事項を記載した願書を、特許庁長官に提出しなければなりません(6条1項)。

願書の様式については、意匠法施行規則2条1項が、用紙、余白、行数、1行あたりの文字数、文字の大きさなど、詳細に定めています。

願書に記載しなければならない事項は、以下のとおりです(6条1項1号~3号)。

  • ・意匠登録出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
  • ・意匠の創作をした者の氏名及び住所又は居所
  • ・意匠に係る物品

意匠登録出願人は、人(自然人)でも法人でも構いません。

2名以上が共同して出願することも可能です。

ただし、個人事業主の屋号などを登録することはできません。

意匠の創作をした者とは、意匠の創作に現実に携わった者をいいます。

したがって、意匠の創作をした者は自然人に限られ、法人はこれに該当しません。

複数の自然人が共同で創作した場合には、全員の氏名等を記載する必要があります。

意匠に係る物品とは、意匠登録を受けようとする物の名称のことです。

意匠法施行規則7条別表第一が物品の区分を定めていますので、意匠登録を受けようとする物品がいずれかに該当するときはその区分を記載します。

どれにも該当しないときは、別表第一の区分と同程度のものを記載します。

意匠を創作した者が意匠登録出願人となって出願をし、審査を経て意匠権者となるのが原則です。

しかし、企業の従業員が、その職務として創作をした場合には、企業(法人)を登録出願人として出願することがあります。

これは、その企業が就業規則等で、従業員から意匠登録を受ける権利を譲り受けることができると定めているからです。

図面

願書には、意匠登録を受けようとする意匠を記載した図面を添付しなければなりません(6条1項)。

登録意匠の範囲は、願書の記載及び願書に添附した図面等により現された意匠に基いて定めなければならないとされていることから(24条1項)、正確な図面を作成することが非常に重要になります。

そのため、詳細な作図方法が定められています(意匠法施行規則3条の様式6、特許庁「意匠登録出願の願書及び図面等の記載の手引き」)。

意匠保護の対象となる物品の多くは、立体の形状をしています。

物品が立体の場合には、正投影図法により各図同一縮尺で作成した正面図、背面図、左側面図、右側面図、平面図及び底面図を一組とするのが基本とされています。

また、平面的な物品(ハンカチなど)の場合には、各図同一縮尺で作成した表面図、裏面図による一組の図面が基本とされています。

写真、ひな形、見本

経済産業省令で定める場合は、図面に代えて写真、ひな形または見本を提出することができます(6条2項)

図面に代えて写真を提出することができるのは、写真により意匠が明瞭に現される場合です(意匠法施行規則4条1項)。

写真の様式についても、意匠登録を受けようとするもの以外に他のものが入らないようにするなど、意匠法施行規則で定められています(意匠法施行規則4条2項)。

形状の表し方は図面の場合と同じで、6方向から撮影した6面一組の写真を提出するのが基本です。

また、図面に代えてひな形や見本を提出することができるのは、そのひな形や見本が以下の条件に該当する場合です(意匠法施行規則5条1項)。

  • ① こわれにくいものまたは容易に変形しもしくは変質しないもの
  • ② 取扱いまたは保存に不便でないもの
  • ③ 意匠法施行規則5条2項の規定により袋に納めた場合に厚さが7㎜以下のもの
  • ④ 大きさが縦26㎝、横19㎝以下のもの。薄い布地または紙地を用いるときは、縦横それぞれ1m以下の大きさのもの

ひな形または見本を提出するときは、丈夫な袋に納め、意匠法施行規則様式8により作成した用紙をその袋にはり付けなければなりません(意匠法施行規則5条2項)。

意匠の説明

図面、写真、ひな形では意匠を十分に表現できない場合には、願書で意匠の説明をする必要があります。

たとえば、意匠に係る物品の記載または願書に添付した図面、写真、ひな形では、その意匠の属する分野の通常の知識を有する者がその物品の材質や大きさを理解することができないときは、その材質や大きさを願書に記載しなければなりません(6条3項)。

また、動的意匠について意匠登録を受けようとするときは、その旨と物品の機能の説明を願書に記載しなければなりません(6条4項)。

補正

これまで解説した書類等を特許庁長官に提出した後、誤記などの不備があることに気付き、訂正をしたいと考える場合もあるでしょう。

そこで、意匠登録出願人は、事件が審査、審判または再審に係属している場合には、願書等の補正をすることができるとされています(60条の24)。

事件が審査に係属している場合とは、願書が受理されてから査定がなされるまでの間のことです。

補正が認められるのは、願書の記載または願書に添付した図面、写真、ひな形もしくは見本の要旨を変更しない範囲に限られます(17条の2第1項、9条の2)。

要旨を変更する補正は、審査官によって却下されます。

なお、却下の決定に不服がある場合は、補正却下決定不服審判を請求することができます(47条1項)。

弁護士による出願登録のサポート

願書や図面の記載等については、特許庁が「意匠登録出願の願書及び図面等の記載の手引き」を作成し公開しています。

これを参考にして、意匠を創作した方がご自身で必要書類を作成して意匠登録出願をすることは不可能とまではいえません。

しかし、同手引きは160頁を超える大部のもので、内容も専門性が高いため、知識・経験のない方が同手引きを正確に理解して願書等を作成するのは現実的には難しいと言わざるを得ません。

ご自身ではきちんと作成できたつもりでも、不備があるために本来は登録を受けられるはずが登録を拒絶されるおそれもあります。

ですから、意匠登録出願を検討している場合は、専門的知識と経験のある弁護士に手続を任せる方が望ましいでしょう。

また、弁護士に依頼をすることのメリットは、願書等の作成に限られるわけではありません。

意匠登録をしたいと考えた場合、出願をする前にやるべきことがいくつもあります。

まず、意匠登録を受けようとする創作が、意匠法で保護される意匠に当たるかどうかを検討する必要があります。

また、知的財産権には、意匠権のほかに特許権や実用新案権といったものがあります。これらの権利が認められるための要件はそれぞれ異なるので、どの権利の保護を受けるのが適切かを検討する必要があります。

これらの検討の結果、意匠登録を選択したとしても、すぐに出願するわけではありません。

すでに公知となっている意匠と同一または類似の意匠は意匠登録を受けることができないとされているため(3条1項1号~3号)、出願前に同一または類似の意匠がないか調査する必要があるのです。

弁護士に依頼すれば、これらの検討や先行調査もすべて任せることができます。

意匠登録出願を検討している方は、一度早めに弁護士に相談してはいかがでしょうか。

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