企業法務 株主総会対策

2021/01/29
企業法務 株主総会対策

株主総会対策 【例】取締役会設置会社・監査役会設置会社

計算書類・附属明細書の作成

代表取締役は、各事業年度の決算日における計算書類(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表)、事業報告、それらの附属明細書を作成しなければなりません(会社法435条1項)。
 

計算書類・附属明細書の監査

代表取締役は、作成した計算書類とその附属明細書を監査役に提出して、監査を受けなければなりません(会社法436条1項)。
監査役は、事業報告及びその附属明細書を受領したときは、会社法施行規則129条所定の事項を内容とする監査報告を作成しなければなりません。
その監査報告は、代表取締役との間で合意して定めた日がなければ、事業報告を受領した日から4週間を経過した日 もしくは、事業報告の附属明細書を受領した日から1週間を経過した日のいずれか遅い日までに、代表取締役に通知しなければなりません(会社法施行規則132条)。
さらに、監査役会設置会社においては、監査役が作成した監査報告に基づき、監査役会の監査報告を作成しなければなりません(会社法施行規則130条)。
 

招集通知の発送

取締役会非設置会社の場合、取締役会設置会社が取締役会で決定していた事項について、株主総会で決議することが可能になる一方、株主総会の招集手続が簡素化されます。 定時株主総会の招集通知に、会議の目的事項の記載・記録が不要ですし、招集通知が口頭でも可能です。(会社法299条2項) 招集通知は株主総会開催日の2週間前(定款に株式の譲渡制限の定めがある非公開会社では原則として1週間前)までに各株主に書面等で発送しなければなりません(会社法299条1項)。
※ 招集手続きの省略
株主総会において議決権を行使することができる全ての株主の同意があるときは、招集手続きを経ることなく株主総会を開催することができます。
 

定時株主総会の開催

定時株主総会においては、取締役は、監査を受け、取締役会の承認を受けた計算書類及び事業報告書を提出し、計算書類については、承認を受け、事業報告については報告をしなければなりません(会社法438条1項、2項)。
※取締役会非設置会社の定時株主総会においては、取締役会設置会社と異なり、

  • ① 株主による議題提案権の行使要件については、1株でも保有していれば行使可能であるし、保有期間の要件もありません(会社法303条1項)。
  • ② 招集前に取締役会が定めた「株主総会の目的である事項」以外の事項について、株主総会が決議することも可能となっております。

 

株主総会決議の瑕疵に関する法制度

 

決議取り消しの訴えの原因となる事項

※但し、瑕疵が甚だしい場合には決議不存在確認の訴えの原因となることがあり得る

1.招集手続が法令・定款に違反、または著しく不公正である例 ・一部株主に対する招集通知もれがあった
・取締役会決議を経ずに代表取締役が招集した
・招集通知に会議の目的が記載されていなかった
・招集の通知期間が不足していた
2.決議方法が法令に違反する例 ・決議の定足数を欠いていた
・取締役会設置会社で招集通知に記載のない事項を決議した
・株主でない者が決議に参加したり正当な代理人の議決権行使を拒否した
・説明義務に違反し、株主の質問に対して不十分な説明のみを行って決議した
3.決議の手続・方法が著しく不公正とされる例 ・ 出席困難な時刻・場所に株主総会を招集した
(大阪高裁昭和30年2月24日判決)
4.決議内容が定款に違反する例 ・定款に定められた制限の員数以上の取締役を選任した

 

決議無効確認の訴えの原因となる事項

  • ・欠格事由のある者を取締役、監査役に選任した
  • ・株主平等原則に違反する決議

 

決議不存在確認の訴え

  • ・決議した事実がないのにあったかのように議事録が作成された
  • ・取締役会設置会社において平取締役が取締役会の決議に基づかずに株主総会を招集した

 

株主による株主総会招集請求に対する対応

 

株主総会の招集権者

  • ・取締役会設置会社の場合は、取締役会を開催し株主総会の招集手続きを決定する議決を行う必要があります(会社法298条4項)。
  • ・取締役会非設置会社の場合は、各取締役が招集することになります(会社法298条1項)。もっとも、実務的には多くの場合は、定款で代表取締役のみが招集権者として定められていることが多いかと思います。
  • ・それ以外に、株主による株主総会招集請求という権利が会社法には定められております。

 
⇒総株主の議決権の3%以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主は、取締役に対し、株主総会の目的事項及び招集の理由を示して、株主総会の招集を請求することができます(会社法297条1項)。そして、請求の後遅滞なく招集の手続が行われない場合または請求があった日から8週間以内の日を会日とする株主総会の招集通知が発せられない場合には、請求をした株主は、裁判所の許可を得て、株主総会を招集することができます(会社法297条4項)。
 

  • ・取締役会設置会社の場合は、取締役会を開催し株主総会の招集手続きを決定する議決を行う必要があります(会社法298条4項)。
  • ・取締役会非設置会社の場合は、各取締役が招集することになります(会社法298条1項)。もっとも、実務的には多くの場合は、定款で代表取締役のみが招集権者として定められていることが多いかと思います。
  • ・それ以外に、株主による株主総会招集請求という権利が会社法には定められております。

 
⇒総株主の議決権の3%以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主は、取締役に対し、株主総会の目的事項及び招集の理由を示して、株主総会の招集を請求することができます(会社法297条1項)。そして、請求の後遅滞なく招集の手続が行われない場合または請求があった日から8週間以内の日を会日とする株主総会の招集通知が発せられない場合には、請求をした株主は、裁判所の許可を得て、株主総会を招集することができます(会社法297条4項)。
 

株主による株主総会招集請求に対する対応

上で述べたように、会社法上、総株主の議決権の3%以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主には、株主総会招集請求権が認められています。そこで、貴社も株主から株主総会招集請求を受ける可能性があります。そこで、もし株主から株主総会招集請求を受けた場合には、まずは、株主による株主総会招集請求が適法なものかを検討します。そして、次に、株主による株主総会招集請求に応じるべきかについて、株主総会の議題や株主の状況、株主総会議事の進行方法、等などを考慮して、臨時株主総会の招集をするかどうかを決めます。
(わかりやすい差異としては、株主による株主総会招集という形で総会が招集されるか、臨時株主総会を招集するかによって、株主総会の議長をどう決めるかが変わってきます)。株主による株主総会招集請求を受けると、臨時株主総会を招集するまでに期間制限がありますので、迅速な検討と対応が必要になります。対応に迷われたら、できるだけ早めに弁護士にご相談ください。

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