企業法務 景品表示法の不当表示

社会の経済においては、物やサービスを売ることは欠かせません。

売り手はそのために、いろいろと知恵を絞って広告を打ちますが、広告は無制限に認められるわけではありません。

この記事では、景品表示法上の「不当表示」にあたる場合の広告の規制について解説します。

景品表示法とは

景品表示法とは、賞品及び役務(サービス)の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることによって、一般消費者の利益を保護することを目的する法律です(第1条)

つまり、消費者が物やサービスを購入する場合に、過大な「おまけ」や不当な記載の広告によって、その判断が惑わされることを防止することによって、自主的かつ合理的な選択をすることができるようにするための法律です。

このような観点から、景品表示法は、①不当景品(第4条)と②不当表示(第5条)を規制しています。

この記事では、このうち、不当表示について解説します。

不当表示とは

表示とは

「不当表示」とは、事業者が供給する商品・サービスについて、消費者に対して、不当に顧客を誘引し、消費者の自主的・合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示のことです。

ここでいう「事業者」というのは、会社に限らず、経済活動を行うすべての人のことを言いますから、個人でも景品表示法を守る必要があります。

そして、景品表示法上、「表示」とは、「顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品または役務の内容または取引条件その他これらの取引に関する事項について行う広告その他の表示であって、内閣総理大臣が指定するもの」と定められています。

この「内閣総理大臣が指定するもの」は下記の5つです。

・商品、容器または包装による広告その他の表示及びこれらに添付した物による広告

・見本、チラシ、パンフレット、説明書面その他これらに類似する物による広告(口頭や電話を含む)

・ポスター、看板(プラカード及び建物または電車、自動車等に記載されたものを含む)、ネオン・サイン、アドバルーン、その他これらに類似する物による広告及び陳列物または実演による広告

・新聞紙、雑誌その他の出版物、放送(有線電気通信設備または拡声機による放送を含む)、映写、演劇または電光による広告

・情報処理の用に供する機器による広告その他の表示(インターネット、パソコン通信等によるものを含む)

これをみると、新聞の折り込みチラシも、看板や電車内広告も、ホームページでの広告も、私たちの身近にある広告のほとんどが対象として含まれていることが分かります。

このような方法によって広告を行う場合には、「不当表示」に当たらないよう気を付けなければなりません。

不当表示の分類

不当表示は、大きく分けると3つに分かれます。

①第5条1号
商品・サービスの品質、規格その他の内容についての不当表示(優良誤認表示)
②第5条2号
商品・サービスの価格その他の取引条件についての不当表示(有利誤認表示)
③第5条3号
商品・サービスの取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがあると認められる内閣総理大臣が指定する表示(指定表示)
優良誤認表示

優良誤認表示には2種類あります。

①内容について、一般消費者に対し、実際のものより著しく優良であると示す表示

②事実に相違して、同種・類似の商品・サービスを供給している競争事業者よりも著しく優良であると示す表示

不実証広告規制

消費者庁長官は、賞品の内容(効果・効能など)について、優良誤認表示に該当するか否かを判断する必要がある場合には、期間を定めて、事業者に対して、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができると定めています。

事業者は、資料提出を求める文書を受け取ってから15日後までに求められた資料を提出しなければなりません。

資料を提出できなかった場合には、「不実証広告」となり、優良誤認表示として規制されることになります。

裁判例

東京地方裁判所平成28年11月10日判決(措置命令取消等請求事件)では、窓ガラスに貼って使用するフィルムの販売のためのリーフレットやウェブページにそのフィルムを貼ると夏季における遮熱効果及び冬季における断熱効果があり、冷暖房効率を効率させるということを具体的な数値を挙げる等によって表示していたものが優良誤認表示と認定されました。

会社が提出した資料に記載された各実験は、表示された商品等の効果や性能に関連する学術界、産業界において一般的に認められた方法又は関連分野の専門家多数が認める方法によって実施されたものであるとはいえず、かつ、仮にこれらの方法が存在しない場合に該当するとしても、社会通念上及び経験則上妥当と認められる方法で実施されたものであるともいえないと認定されて、合理的根拠資料を提出していない扱いとなり、不実証広告規制によって、有料誤認表示であると認定されたものです。

有利誤認表示

有利誤認表示も2種類あります。

①価格やその他の取引条件について、実際のものよりも著しく有利であると消費者に誤認される表示

②価格やその他の取引条件が競争業者のものよりも著しく有利であると消費者に誤認させる表示

指定表示

指定表示は、現在、下記の6つが指定されています(消費者庁のホームページより)。

・無果汁の清涼飲料等についての表示

・商品の原産国に関する不当な表示

・消費者信用の融資費用に関する不当な表示

・おとり広告に関する表示

・不動産のおとり広告に関する表示

・有料老人ホームに関する不当な表示

不当表示と判断されるとどうなるのか

措置命令

措置命令とは、不当表示であると判断した場合に、その事業者に対して、一般消費者に与えた誤認の排除、再発防止策の実施、今後違反行為を行わないことなどを命ずる行政処分を行うことです。

措置命令は、原則として、消費者庁によって行われますが、関係省庁や都道府県知事にも措置命令を行う権限が付与されています。
また、公正取引委員会には調査権限はありますが、措置命令を行う権限はありません。

弁明の機会の付与

措置命令は、行政が不利益処分を下すことになりますから、相手に対して、防御権を付与する必要があります。そのため、消費者庁長官が措置命令を行おうとする場合には、弁明の機会を付与する必要があります。

措置命令の内容
差止命令
不当表示と認定された表示をやめることです。
再発防止策の実施
今後同様の表示が行われることを防止するための必要な措置を講じることです。
差止命令や再発防止策実施に関する公示
上記を取引先に通知したり、新聞広告に掲載したりなど公示をすることです。
その他必要な事項
命令に受けて、実施した内容を消費者庁長官に報告することなどです。
措置命令に不服がある場合

措置命令は行政処分ですので、これに不服がある場合は、行政不服審査法に基づく審査請求、または、行政事件訴訟法に基づく取消の訴えを起こすことになります。

課徴金制度

課徴金制度は、平成28年4月から施行されている制度です。

課徴金制度の対象となる不当表示は、①優良誤認表示と②有利誤認表示のみです。③不当表示は対象ではありません。

課徴金額は、その不当表示の影響によって事業者が得た売上額の3%になります。対象期間は3年を上限とされています。

なお、違反事業者が相当の注意を怠った者でないと認められるときは、課徴金を賦課しないことになっています。

また、課徴金額が150万円未満となる場合は、課徴金を賦課しない扱いとなっています。

さらに、事業者が課徴金の対象となる不当表示について、違反行為を行ったことを自主申告した場合には、課徴金の金額が2分の1に減額される制度があります。

また、事業者が、顧客に対して不当表示により得た利益について、自主的に返金を行った場合には、その返金額に応じて課徴金の減額・免除を受けることもできます。

課徴金を課す場合にも、弁明の機会の付与は必要です。

課徴金を課されたことに不服がある場合にも、行政不服審査法に基づく審査請求、または、行政事件訴訟法に基づく取消の訴えを起こすことになります。

まとめ

不当景品、不当広告の規制については、措置命令だけは効果が薄いことから、平成28年からは課徴金制度も導入されました。

しかし、やはり、措置命令の対象になるだけでも、社会的影響は大きく、例えば、牛肉偽装などの食品偽装問題は、それだけで、企業の命運を分けるほどの大問題になったことはご存知だと思います。

景品表示法については、消費者庁のホームページが細かく説明をしていますし、例示も掲載されていますから、参考になります。それだけでは分からない、判断に迷うという場合には、あらかじめ弁護士の意見も聞いてみてください。

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