クレジット契約の名義貸しをした者の責任を一定の場合に否定した最高裁判例(平成29年2月21日 最高裁第三小法廷判決)


はじめに

これまでの裁判実務においては、クレジット契約をする際に、実際には商品等を購入していないにもかかわらず、購入したかのように装った者は、法的責任追及を免れないというのが通説的な理解であったと思われます。

誤解を恐れずに簡潔に述べると、いわゆる空クレジットを組んだ者の責任を免れさせる必要はないという結論は、筆者自身のバランス感覚としても受け入れやすいものであると感じていました。

しかし、最高裁は一定の場合、具体的には「販売業者の依頼に基づくものであり,その依頼の際,契約締結を必要とする事情,契約締結により購入者が実質的に負うこととなるリスクの有無,契約締結によりあっせん業者に実質的な損害が生ずる可能性の有無など,契約締結の動機に関する重要な事項について販売業者による不実告知があった場合には,これによって購入者に誤認が生じ,その結果,立替払契約が締結される可能性もあるといえる。このような経過で立替払契約が締結されたときは,購入者は販売業者に利用されたとも評価し得る」のであり、そのような場合には、空クレジットを組んだ者の責任を免れさせることがありうるのとの判断を示しました。

実務上、この法理がいわゆるリース契約のケースにも適用可能であるのか等、今後の実務に影響を及ぼす注目すべき裁判例であると思われます。

最高裁判所の決定の概要

最高裁は、「立替払契約が購入者の承諾の下で名義貸しという不正な方法によって締結されたものであったとしても,それが販売業者の依頼に基づくものであり,その依頼の際,契約締結を必要とする事情,契約締結により購入者が実質的に負うこととなるリスクの有無,契約締結によりあっせん業者に実質的な損害が生ずる可能性の有無など,契約締結の動機に関する重要な事項について販売業者による不実告知があった場合には,これによって購入者に誤認が生じ,その結果,立替払契約が締結される可能性もあるといえる。このような経過で立替払契約が締結されたときは,購入者は販売業者に利用されたとも評価し得るのであり,購入者として保護に値しないということはできないから,割賦販売法35条の3の13第1項6号に掲げる事項につき不実告知があったとして立替払契約の申込みの意思表示を取り消すことを認めても,同号の趣旨に反するものとはいえない。」と判示してします。

予想される今後の実務への影響

本件は、裁判例を引用すると、「本件販売業者は,改正後契約の締結について勧誘をするに際し,改正後契約に係る上告人らに対し,ローンを組めない高齢者等の人助けのための契約締結であり,上記高齢者等との売買契約や商品の引渡しは実在することを告げた上で,「支払については責任をもってうちが支払うから,絶対に迷惑は掛けない。」などと告げているところ,その内容は,名義貸しを必要とする高齢者等がいること,上記高齢者等を購入者とする売買契約及び商品の引渡しがあること並びに上記高齢者等による支払がされない事態が生じた場合であっても本件販売業者において確実に改正後契約に係る上告人らの被上告人に対する支払金相当額を支払う意思及び能力があることといった,契約締結を必要とする事情,契約締結により購入者が実質的に負うこととなるリスクの有無及びあっせん業者に実質的な損害が生ずる可能性の有無」について虚偽を述べている事案であり、空クレジットの事案について広く適用できるかは慎重な検討が必要であると思われます。

また、最高裁の上記法理が、空クレジット契約だけでなく、空リース契約についても適用されうるのか等の今後の展開も注目されます。

弁護士法人 高田総合法律事務所

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