遺産分割において不動産を換価して分割する方法


遺産分割において不動産を換価して分割する方法

遺産分割において、不動産の処分というのは、とても争いになりやすい問題です。

不動産を売って、売却代金を分けるということになった場合、不動産の換価分割とは、どのような手続きによって行われるのでしょうか?

不動産を遺産分割する方法

遺産分割の3つの方法

遺産分割の方法には、現物分割、代償分割、換価分割の3種類があります。

現物分割

現物分割とは、遺産を現物のまま分けることです。

不動産であれば、土地を分筆することなどが現物分割にあたります。

また、A不動産は長男が取得し、B不動産は次男が取得するというように分けたりすることも現物分割になります。

代償分割

代償分割とは、特定の相続人が遺産を取得し、他の相続人に対して、自分の資産の中から代償金を払うという分割方法です。

例えば、不動産以外にめぼしい財産がない場合に、時価3,000万円の自宅を長男が取得することと引き換えに自分の財産の中から、次男に1,500万円の代償金を支払うという方法です。

換価分割

換価分割とは、遺産を売却して、その売却代金を分けることをいいます。

 
最高裁判所昭和30年5月31日判決によると、遺産分割の原則的な方法は現物分割であるとされています。

その次に代償分割が望ましく、どちらもできない場合に換価分割という方法を取るべきとされています。

これは、遺産はなるべく現物のまま引き継がれた方がよいという考え方からきています。

共有分割

遺産分割において、現物分割、代償分割、換価分割のいずれの方法もどうしても取ることができない場合には、「共有分割」という方法を取ることもありえます。

共有分割とは、不動産の場合には、不動産に対する持ち分を法定相続分どおりの共有とするということです。

例えば、3人兄弟であれば、1つの不動産について、3分の1ずつの共有として相続登記を行うということになります。。

遺産分割の結果、共有分割になってしまったあとに、共有状態を解消したい場合には、別途共有物分割訴訟を行うことが必要になります。

このように、共有分割は、紛争の終局的解決にならないことが多いため、大阪高等裁判所の平成14年6月5日判決では、換価分割すら困難な状況があるときに限って認めるべきものとされています。

換価分割の方法

当事者の合意による売却

遺産分割は、相続人全員の合意によって成立します。

そこで、遺産分割は、まずは全員で協議を行い、当事者だけでの話し合いが難しければ、家庭裁判所で遺産分割調停を行い、解決を目指します。

協議もしくは、調停においては、不動産の分割について、相続人の全員が合意すれば、売却をして売却代金を自由に分けることができます。

ただし、遺産である不動産は、被相続人の名義のままでは売却できません。被相続人の死亡によって、不動産は法定相続人の共有になっているからです。

そこで、売却するには、法定相続人の共有持ち分に応じた相続登記をする必要があります。

そうすると、不動産を売却するには、相続人全員が売主となって、売買を仲介してくれる不動産会社と契約をしたり、買主と契約をしたりする必要があります。

実際には、相続人のうちの一人を代表者として、その他の相続人はその代表者に実印による委任状及び印鑑証明書を渡して、売買を任せることが一般的です。

遺産分割協議の場合でも、遺産分割調停の場合でも、不動産の売却を始める前に、売却価格、売却期限、売却にかかる経費(仲介手数料や司法書士費用等)の支払方法、売却代金の分け方などは決めておいた方がよいでしょう。

つまり、どれくらいの価格で売り出すか、いつくらいまで売れない場合には、売却価格の見直しをするか、売却した後は、売却代金から何を差し引いて残りを分けるかということまで決めておくということです。

遺産分割調停中であれば、合意内容は調書に記載してもらいましょう。

なお、換価分割のために不動産を売却した場合、不動産譲渡税がかかることがありますので、相続税以外の税金のことも計算に入れておきましょう。

家庭裁判所の命令による売却

遺産分割調停の審判移行

遺産分割の協議や調停では、相続人同士の話し合いによって解決を図ります。相続人の全員が同意しなければ、遺産分割は成立しません。

そこで、遺産分割の調停で話し合いがまとまらない場合は、審判移行といって、裁判所が遺産分割を決める「審判」という手続きに移行します。

中間処分としての換価命令

不動産を現物分割できず、代償分割する資力がある相続人もいない場合で、換価分割が遺産分割の解決に必要な場合には、家庭裁判所は、審判の途中に換価分割を命じることができます。

これを「中間処分としての換価命令」と言います。

なお、換価命令に対して、不服がある場合には、即時抗告を申し立てることができます。

審判手続きの途中に、中間処分として換価命令をした家庭裁判所は、不動産の売却の方法について、任意売却か競売のどちらかを選んで命じます。

この場合の任意売却とは、通常の方法により不動産を売却することです。

自己破産などの債務整理の分野では、住宅ローンなどのローンがオーバーローン状態になっている不動産を銀行などの債権者の協力を得て売却することを「任意売却」と言いますが、ここでの「任意売却」には、ローンがついていない不動産の売却も含みます。

一般的には、競売よりは、任意売却の方が高く売れるのでよいと言われますが、相続人のうち1人でも任意売却に反対すると、家庭裁判所は任意売却を選ぶことができず、競売を選ばざるを得なくなります。

家庭裁判所が不動産の任意売却を命じる場合には、最低売却価格を決めなければならず、さらに、売却方法、期限その他の条件を定めることができます。

任意売却の場合も競売の場合も、家庭裁判所は、相続人の一人を「換価人」と決めます。任意売却の場合には、換価人が不動産会社への依頼や買主との売買契約などの手続きを行います。

競売の場合には、換価人が競売の申立を管轄の地方裁判所に対して行います。

家庭裁判所は、換価人に対して、遺産の中から相当な報酬を与えることができます。

なお、換価した後の売却代金は、その管理保管をめぐって争いが生じるのを避けるために、家庭裁判所が選任する「財産管理者」が管理することになります。

不動産の売却が完了したら、その売却代金を遺産に含めて、家庭裁判所が遺産分割について、だれがどの遺産をどのように相続するかを決める審判を行い、遺産分割は終了となります(不服の場合は即時抗告もできます)。

終局審判における競売による換価分割

家庭裁判所が換価分割を命じる場合には、「中間処分としての換価命令」を行うことがほとんどです。不動産がいくらで売れたかが分かってから、最終的な遺産分割の審判を行った方が公平な審判ができるからです。

もっとも、家庭裁判所は、終局審判で換価分割を命じることもできます。

終局審判、つまり、遺産分割の最終的解決を示す審判の中で換価分割を命じる場合には、競売による換価分割しか命じることができません。

「不動産を競売手続きに従って売却し、その売却代金をこういうふうに分けなさい」ということを審判で示して、家庭裁判所での遺産分割手続きを終わりにするという方法です。

まとめ

現物分割ができず、だれも代償金を準備できないのであれば、換価分割になることはやむを得ないと思います。

換価分割になる場合には、競売ではなく、任意分割を選ぶべきでしょう。

誰かひとりが意地をはって、競売命令になってしまうと、安く買われてしまう可能性が高く、結局は誰も得をしないという結果になりかねません。

不動産の分割方法について争っている場合には、早めに弁護士に相談することをお勧めします。

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