不貞行為の調査にかかった探偵費用を浮気相手に請求することはできる?


探偵費用を浮気相手に請求

夫又は妻の不倫に対して、不倫相手や配偶者に対して慰謝料請求をする場合(配偶者と離婚する場合を含みます)、その不倫行為を認めさせるために探偵会社に調査を依頼し、その調査費用を離婚訴訟において損害として請求する場合があります。

このような調査費用がどの程度損害として認められるのでしょうか。以下で検討します。

損害賠償として認められるかの基準

裁判上、被告の行為によりある支出をしなければならなかったと通常認められる場合に、その支出を被告に対し損害賠償として請求することができます。

これを加害行為との損害との間に因果関係がなければならないというようにいいます。

不貞行為に基づく損害賠償請求の場合ですと、被告の不貞行為があったので、原告がその支出を余儀なくされたといえる場合でないとその支出は損害として認められないことになります。

裁判例の検討

不貞行為に基づく損害賠償請求訴訟のうち探偵費用が損害として争われたもののうち6つの裁判例を分析しました。

その分析結果について以下で示します。

因果関係が認められなかったもの

1. 東京地方裁判所(平14(ワ)17240号)(平成22年12月21日判決)
判決 棄却
請求額 3,150,000円
認容額 0円
認容率
不貞行為は別の証拠(SNSの書き込み)で証明できていたので、不貞行為を証明する手段として探偵費用を支出する必要がなかったので、損害として認めない。

1.の裁判例では、不貞行為の事実自体が争われてものの、別の証拠(被告と日被告の配偶者との間のSNSの書き込み)により、不貞行為の事実自体はある証明されていました。

したがって、不貞行為を証明するために探偵に調査を依頼して探偵費用を支払う必要性がなかったものと認定されていました。したがって、裁判所は、被告の不貞行為と探偵費用間の因果関係を認めませんでした。
 

2. 東京地方裁判所(平27(ワ)4116号)(平成27年12月2日判決)
判決 棄却
請求額 928,800円
認容額 0円
認容率
不貞行為自体は争いのない事実として認定されているので、探偵調査により証明が必要であったとまではいえないことから、因果関係が否定されているともいえる。

2.の裁判例では、不貞行為の事実自体が争われておらず、むしろ不貞行為が行われた時点では原告と原告の配偶者との間の婚姻関係が破綻していたかが争点となっておりました。

そうすると、不貞行為自体を探偵の調査により証明する必要がなかった事案ということになり、原告は探偵費用を支払う必要性が無かったものと認定されてしまいました。

したがって、裁判所は被告の不貞行為と探偵費用間の因果関係を認めませんでした。
 

因果関係が認められたもの

請求額の大半が認められたもの
3. 東京地方裁判所(平19(ワ)33582号)(平成20年12月26日判決)
判決 一部認容
請求額 1,257,605円
認容額 1,000,000円
認容率 79.5%
不貞行為をした被告の素性が明らかではなかったので、探偵調査が不貞行為そのものを証明するのに必要であったので、ある程度は認める。

3.の事例は、不貞行為の存在が争点となっていました。

そして、本事例の探偵調査の内容は、被告と原告の配偶者が一緒に旅行した際の状況や、被告の自宅に一緒に滞在した状況が記載されているなど不貞行為の内容を証明するのに必要性があったものと認められます。

このような観点から原告が探偵費用として請求した79.5%に当たる1,000,000円を不貞行為と因果関係がある損害として認容したものです。
 

4. 東京地方裁判所(平22(ワ)41115号)(平成23年12月28日判決)
判決 一部認容
請求額 1,575,000円
認容額 1,000,000円
認容率 63%
被告と原告の妻との間の特定の日時場所での性行為の事実(=不貞行為の事実)を証明する手段をなっていたので、ある程度支出は損害として認める。

4.の事例では、不貞行為自体が争点となっており、探偵調査の内容は、被告と原告の妻が特定の日時場所において性交渉をしたという不貞行為の中核部分を証明する内容でしたので、裁判所は、探偵調査が不貞行為の存在を証明するために必要であると認定しました。

その結果、裁判所は、原告が探偵費用として請求した63%に当たる1,000,000円を不貞行為と因果関係がある損害として認容したのです。
 

請求額の大半が認められなかったもの
5. 東京地方裁判所(平14(ワ)11991号)(平成15年11月6日判決)
判決 一部認容
請求額 1,917,500円
認容額 100,000円
認容率 5.2%
不貞行為の事実は別の証拠(電子メール)が推知でき、また、調査費用自体の額と調査行為とか不均衡となっていることから、相当因果関係はあるが、10万円の限度で認めた。

5.の事例は、不貞行為の存在が争点となっていたものの、不貞行為の存在は別の証拠(電子メール)でも推認することができ、また探偵調査の内容とこれに対する報酬が不均衡であることから(特に弁護士費用よりも高額となっている点)から裁判所は、原告が探偵費用として請求した5.2%に当たる100,000円しか不貞行為と因果関係がある損害として認容しなかったものです。
 

6. 東京地方裁判所(平24(ワ)3273号)(平成25年5月30日判決)
判決 一部認容
請求額 2,079,000円
認容額 100,000円
認容率 5%
相当因果関係は認められるが、不貞行為の存在を証明するに当たっての寄与度や弁護士費用よりも高額であること考えて、10万円にとどめた

6.の事例は、不貞行為の存在が争点となっていなかったものの、不貞行為が別の証拠によってもある程度推知できたことや探偵調査の内容が尾行等の行動調査に留まっていること、また探偵費用の額が弁護士費用よりも高額となっていたことから、原告が探偵費用として請求した5%に当たる100,000円しか不貞行為と因果関係がある損害として認容しなかったものです。
 

探偵費用が損害として認められるかの判断要素

裁判において不貞行為が争点となっているか

探偵費用は、不貞行為の存在を調査するものですので、裁判において被告が不貞行為の存在を認めて、例えば不貞行為の時点で、婚姻関係が破綻していたことを争点となっていた場合には(事例「2」)、不貞行為の内容を証明するために探偵費用が必要であったとは認められませんので、この場合の探偵費用は不貞行為と因果関係がある損害とは認められません。

探偵調査が不貞行為の証明においてどの程度の寄与をしているか

裁判において、不貞行為が争点となっていても、他の証拠により不貞行為が明らかに証明できるような場合あったり(事例「1」)、また探偵調査の内容が他の証拠と併せて不貞行為が証明できるようなものであったりする場合には(事例「2」「5」「6」)、「探偵費用は因果関係がないとされるか」又は「調査費用の額が弁護士費用等を比べて高額であるか」と併せて非常に低廉な金額しか認容されないことになります。

他方、探偵調査の内容が性交渉の具体的な日時場所・内容といった不貞行為の核心にせまるような場合(事例「3」)やその他不貞行為の存在を証明する必要性が認められる場合(事例「4」)には、探偵費用のかなりの額が認容されることになります。

調査費用の額が弁護士費用等を比べて高額であるか

探偵調査も委託業務なので、委託業務の典型である弁護士費用に係る弁護士業務に係る業務内容と比較して著しく高額となっていると認められる場合には、請求額のうち業務内容に当たると認められる部分のみが不貞行為の証明のために必要性があった損害として認められます。

まとめ

以上のとおり、探偵費用が不貞行為と因果関係のある損害として認められるためには、高度な法律判断が必要となります。したがって、具体的な事例を検討される場合には、法律の専門家である弁護士の助力をうけることを強くお勧めします。

弁護士法人 高田総合法律事務所

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