弁護士に破産を依頼する際に知っておきたい5つのこと


自己破産

 

毎月返済に追われて気が気でない。
月末になると支払いのことで頭がいっぱいで仕事や家庭のことが手につかない。
利子の支払いが膨らむばかりでとても借金を返済できそうにない。
家族の保証人になっていたら、本来の債務者が支払えなくなり、多額の貸金返還請求が自分に来たが、とても返済できる金額ではない。
そのように思われたときに、「自己破産」をお考えになるのではないでしょうか。

では、この「自己破産」とはどのようなものでしょうか?
自己破産とは、債務者自らが裁判所に破産の申立をするもので、個人が自己破産をする場合、その目的とするところは、いわゆる「免責」(借金の返済義務を法律の力で免除すること)を得ることにあると考えられます。

まず、この「免責」についてですが、「自己破産」の申立をすれば、どんな場合も「免責」が得られるわけではありません。
簡単に言えば、「浪費(収入に見合わない無駄遣い)またはギャンブルによって大きな負債を抱えるようになった」「破産管財人の業務を妨害したり、財産隠しをした」等の場合に、免責を不許可にするということが破産法という法律に定められています。
これを免責不許可事由というのですが、これがあるのかどうか、まず調査することになります。さらに、これがあると認められる場合であっても裁判所の裁量で免責をしてあげるような事情があるのかということも検討されることになります。

次に、「財産関係はどうなるの?」ということについてですが、もちろん、「自己破産」をした場合、当然に持っている財産をそっくりそのまま持ち続けられるわけではありません。
ただ、持っている財産全てを破産手続きにおいてとり上げられてしまうわけでもありません。「換価される財産(手放さなければならない財産)と自由財産(手元に残すことができる財産)」が一定の基準に基づいて分けられることになり、さらに「自由財産(手元に残すことができる財産)」についても、「法定の自由財産」と「裁判所の許可に基づいて自由財産とされるもの」に分けられます。

破産手続きについての詳しい説明はここでは限界がありますが、上記のように、個人の自己破産の場合、「免責」と「財産関係」の2点が主に問題となります。

そして、その手続きの代理については弁護士に相談し、依頼を検討することをお勧めしますが、このコラムでは、「弁護士に破産を依頼する際に知っておきたい5つのこと」と題して、弁護士に依頼して任せる場合であっても、皆様も知っておいた方がいいと思われることの概要を記載しました。
個々の項目についての詳しい説明は、リンク先のページの記載も参考にされてください。

 

1 免責不許可事由と免責調査

自己破産申立を行う最大の目的は,通常は免責を受ける(借金の返済を免除されること)ことですが,借金の原因や破産者の一定の不誠実な行為等によって,免責を受けることが出来ない場合があります。

この免責を受けることができない場合というのは、「免責不許可事由」といって、破産法252条1項に定められており、この免責不許可の事由は,例えば,浪費や賭博によって財産を著しく減少させた場合,破産者が財産を隠匿した場合,特定の債権者に対してのみ偏った弁済をした場合等となっています。

このような免責不許可事由の存在が疑われる場合には,管財事件(4参照)となって,破産管財人による免責調査がなされることになります。

ただし,破産法252条第1項の原因があったからといって必ず免責されないということではなく,裁判所が裁量で免責を認める場合(裁量免責といいます)もあります。

免責不許可事由があるからといってすぐに免責不許可となるわけではなく、裁量免責が認められるような事情があれば、裁量免責が認められることもあるといえます。

 

2 非免責債権

免責不許可事由とは異なり,そもそも免責されない債権というものがあります。

税金,国民健康保険,罰金といった公租公課,養育費や婚姻費用,不法行為に基づく損害賠償請求権のうち,破産者の悪意に基づくもの,及び故意または重大な過失により加えられた人の生命または身体を害するもの等については,そもそも免責されませんのでご注意ください。

例えば,あなたが重大な過失によって死亡事故を起こしてしまい,被害者や遺族に数千万円の損害を与えたような場合,あなたが任意保険に加入しておらず支払いができないとしても,被害者遺族のあなたに対する損害賠償請求は非免責債権となります。

 

3 受任通知発送と預金債権の相殺等

弁護士に破産の申立手続きを委任した場合,最初に債権者に対して受任通知を発送します。この受任通知の送達により,金融業者は取り立てが出来なくなります(貸金業法21条1項9号)ので,債権者からの督促は止まります。

他方で,受任通知は期限の利益喪失の原因ともなりますので,銀行系のカードローンで借り入れをしている場合,銀行があなたに有している債権と,あなたが銀行に有している預金債権を相殺されてしまう恐れがあります。そこで,銀行系のカードローンで借り入れをしている場合には,受任通知を発送する前にその銀行に預けている現金を引き出しておく必要があります。

また,従前の債権者への返済方法が口座自動引落しの場合には,受任通知を発送しても直ちに引落が止まらない場合があるため,当該口座の預金を引き出しておくことが必要となります。

同口座に給与の振込等がなされる場合には,可能であれば給与口座を他の金融機関の口座に変更してください。

 

4 管財事件と同時廃止事件

自然人(法人でない人)の場合の破産手続には、大きく分けて管財事件と同時廃止事件があります。

管財事件とは,裁判所により管財人が選任され,その管財人が破産者の財産を調査・管理・処分し債権者に配当する手続をいいます。

これに対して,同時廃止事件とは,破産管財人が選任されず,破産手続きの開始と同時に破産手続きが廃止によって終了する手続をいいます。

管財事件になると,管財人の費用として予納金を収める必要があり,管財人の費用は最低20万円とされています。また,管財事件になると,管財人による調査・財産処分・配当等の手続きがなされ,管財人による報告が債権者集会という形でることから,同時廃止事件と比べて,手続に時間がかかります。具体的には,手続開始から終了までの間に3か月から6か月程度の時間を要します。

このように,管財事件と同時廃止事件とでは,費用・時間のコストが大きく異なってきますが,その振り分けについて,福岡地裁では以下の基準が採られています。

すなわち,財産の項目ごとの合計額が20万円以上であれば,管財事件となります(例えば,預金が18万円,生命保険の解約返戻金が18万円,その他現金以外の資産がなければ財産の項目ごとの合計額が20万円以上でないので基本的には同時廃止事件となります。)。なお,現金については,振り分けに際して清算すべき財産とはなりませんが,多額の現金を有していること自体が他の資産を保有していることの疑いを抱く事情となり,財産調査が必要となる(すなわち管財事件となる)ことになります。このような財産調査が必要とみられる現金の額については,33万円(標準的な世帯の1か月の必要生活費)が基準となります。

このような財産の価格による振り分けとは別に,否認対象行為の有無の調査・免責調査をする必要がある場合や,受任通知から1年以上経過して申立てを行った場合には管財事件とされる場合があります。

 

5 換価される財産と自由財産

管財事件となると破産者の財産は原則として換価されて債権者に配当されるのが原則です。

しかし,全ての財産を処分してしまうと破産者の手元に全く財産が残らないことになると破産者は生活が出来なくなります。また,換価価値が低いものについてはそもそも換価する意味がありません。そこで,一定の財産については、自由財産として破産者に残されることになります。

まず,破産開始決定後に破産者が手に入れた財産については自由財産となります。具体的には,破産開始決定後に発生した売掛債権等です。これについては,債権者に対する配当の原資となることはありません。

また,破産開始決定前に有していた財産であっても,99万円未満の現金,解約返戻金見込合計額が20万円以下の生命保険,処分見込合計額20万円以下の自動車,生活保護受給権,扶養請求権・財産分与請求権などの一審専属権等についても自由財産として破産者の手元に残ります。

さらに,裁判所は,破産者の生活状況等を考慮して自由財産の範囲を拡張することができます。具体的には,破産者に持病があり,生命保険(解約返戻金見込が20万円を超えるもの)を解約すると再び保険に加入することが困難な場合や,移動手段として自動車(処分見込合計額20万円を超えるもの)が必要な場合には,裁判所に対し自由財産拡張の申立てを行い,裁判所の許可があれば自由財産として認められます。

弁護士法人 高田総合法律事務所

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